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「いや,迂闊に話せないんだ。君を疑ってるんではなくて今この時でも誰かに聞かれてるかもしれないと用心しなきゃならない。気を悪くしたのならすまない……。」
桂の口数が少なくなると不安になる。まだ出石の件が頭を過るんだ。
それを察して桂は他に心配事は?と訪ねた。
「今どこに身を置いてはるの?」
「遠方に足を伸ばしやすい位置にある宿だよ。今度来る?と言っても君を一人にしてしまうから来てもつまらないよ。」 香港顯赫醫學植髮中心 NU/HART - 保證有效、安全、永久、自然、美觀
だからここに居なさいと桂は諭すが,三津はそれでもいいから傍に行きたいと懇願した。
「来ても傍には居られないよ?」
「何で来てくれたら嬉しいって言ってくれへんの?」
いつもならついて行きたいぐらいのわがままを言ってくれと言う癖に。三津は泣きそうな顔で困惑気味な顔の桂を見つめた。
「寂しい思いをさせてすまない。でも……まだしばらくはこの状況が続く。三津は耐えられる?」
「耐えんと木戸さんの奥さんは務まらないです……。だって結婚したら二人でしょ?そしたら一人の時間は今よりもっと増えるんでしょ?だったら耐えて慣れんと……。」
その答えに桂の表情が歪んだ。どうしても無理をさせてしまう。自分が三津の負担になっている。この想いが三津の重荷になっていると感じた。
「すまない。君をそこまで思い悩ませてたとは……。寂しがりの君を一人にして閉じ込めた私は酷い男だ。こんな私と居ると君は幸せにはなれない……。」
「そんな風に思った事なんかない!何でそんな事言うんですか……。」
嫌な予感しかしない。胸がざわついて呼吸が浅くなる。こっちを見てほしいのに桂は視線を寄越さない。醸し出す空気に壁を感じた。
どうしていつもこうなってしまうのだろう。三津は泣くのを堪えて桂の袖をぎゅっと掴んだ。
「私の傍にいれば傷付くだけだ。君のそんな姿見たくない……。無理しなくたっていい。だから……これからは自分の為に自由に生きてくれ……。
もう……終わりにしよう。」
あれからどこでどう過ごしたか記憶がない。気が付けば夜が明けていた。
入江との相部屋には戻らなかったが,桂と一緒だと思われていたから何も不思議がられなかった。
「セツさん,ちょっと調子悪いんで今日は休んでていいですか?」
朝餉の用意をし終えた後で三津はセツに休暇を申し出た。
「やっぱり?顔色悪いと思っちょったそ。今日はゆっくりしとき。後で幾松さんも来よるけぇ大丈夫よ。」
すみませんと頭を下げて三津は相部屋に戻った。
朝餉を食べる時に三津の姿がないのは誰もが気付いたが昨夜は桂と過ごして疲れたんだろうと誰も変だとは思わなかった。
『何であんな事を口走ったんだ……。』
桂は昨夜の事を思い返して自責の念に駆られた。
本当に終わりにしようなんて思ってない。ただ自分と居る事で三津を不幸にしていると思うと堪えられなかった。
三津を思うが故に出た言葉だったがその時の三津の表情が頭から離れない。
青ざめた顔に開き切った瞳孔,途端に過呼吸のように荒くなった呼吸。咄嗟に背中を擦ろうとしたがその手は払い除けられて走り去ってしまった。情けないがその背中を追う事は出来なかった。
このまま引き止めないほうが三津の為だと思ってしまった。
『駄目だ謝らんと。今回も言葉が足りてない……。ちゃんと面と向かって話し合わなければ。』
桂は職務の合間にまた抜け出して阿弥陀寺へ向かった。
「セツさん三津は?」
屯所に着くとセツと幾松が洗濯物を取り込んでいる所だった。
「今日は調子悪くて朝から部屋で休んどるそ。行ってあげて。」
『やっぱり……。』
桂は急いで相部屋へ向かった。
「三津,私だ。開けるよ。」
声をかけて戸を開けた。だがそこに三津は居なかった。居ないどころか部屋がスッキリ片付いている。変な違和感を覚えた。