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信光は胡座の足を素早く組み替え、ぐいっと身を前に突き出すと
「分かっているとは思うが、儂が迷わずここへやって参ったのは、清洲の誘いに乗る意思のなき事を、行動をもってそなたに示す為じゃ。
坂井の甘言などには微塵も心は動いておらぬ。下四郡を手に入れたいのは山々じゃが、逆臣・傀儡の信友などと共に守護代を名乗る事に何の意味があろうか」
守護代は一人で十分だと、信光は吐息混じりに呟いた。
「儂はな信長殿、これまで同様そなたと手を結び、共に清洲の連中を攻め滅ぼしたいと思うておる」
「有り難きお言葉にございます」
「故に、ここは一つ大芝居を打ち、守護代、小守護代ら諸とも騙し討ちに致そうかと考えておるのだ」
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「そうじゃ。頼みに応じる振りをし、隙を見てまず、大膳を討つ。巨悪の根源たる小守護代を始末すれば、信友とて成す術を失おう」
もはや側に濃姫がいる事も忘れ、信光は甥の興味を引こうとするような妙に現実的な言い方で、自身の考えを述べた。
やおら信長は思案顔になると、ふむと腕を組んで
「叔父上のお考えは粗方分かり申した。 …なれど左様な大掛かりな真似を、無益でして下さる訳ではございますまい?」
相手の心の内を探るように訊ねた。
「それは無論。事が万事滞りなく運んだ暁には、戦利品の山分けをお願い致したい」
「山分け─」
「於多井川(おたいがわ)を境として、尾張下四郡のうち東半分を貰い受けたい」
「つまりは、儂と叔父上で下四郡を二郡ずつに分けて領有致したいと?」
「左様。それと、そなたが清洲の城に移った後は、この那古屋の城を我が居城と致したい」
「ほぉ、この城をですか」
信長の目が徐(おもむろ)に室内を見渡した。
「この二つを呑んでいただけるのならば、見事、清洲の城を騙し取ってご覧に入れましょうぞ」
信光は自信たっぷりに言うと、やや白髪の目立ち始めた頭を慇懃に下げた。
「──下四郡の内の半分と、そしてこの城…。清洲の城も権威もそっくり手に入る事を考えれば、妥当な条件なのであろうのう」
暫しの休息と称し、信光を一旦客間へと去らせた信長は、座敷の前庭を眺めながら抑揚なく呟いた。
濃姫は変わらず下段の最前に控えたまま、座敷に背中を向け続ける夫に無感情な視線を送っている。
「濃、そなたはどう思った? 先程の叔父上のお考えを聞いて」
「畏れながら、私が意見を申し上げても宜しいのでしょうか?」
「その為にそなたを同席させたのじゃ。遠慮はいらぬ、思うところを申せ」
「…それでしたら」
濃姫は黒漆塗りの床板から軽く腰を浮かせるようにして、くいっと信長の方に身体を向け直すと
「私が殿のお立場でしたら、信光様のお考えに喜んで賛同致しまする」
如何にもな聡明さを、その細面に湛えながら言った。
「その心を伺おうか」
「信光様は殿の数少ない支持者のお一人、これまでの経緯を考えても、信じるに値するお方である事は間違いございませぬ」
「ん─」